民事信託の利用(家族内信託)
①「相続税法」が、ひっくり返る法律制度
民事信託(家族内信託)とは?
商事信託(大手信託銀行の扱い)とは別の、誰でもやれる「民事信託」が10年前に施行されました。
そして今、民法(相続法)のらち外に、信託法が置かれて、各々の枠内での法制が語られることになりました。
相続税法に大きな影響を及ぼしかけています。
②信託法(家族内信託)の構造
次のとおり❶委託者❷受託者❸受益者の3者が登場する。
❶ 財産を持っている委託者(死に行く被相続人)
・信託宣言で受託者を指名する
・委託者が受託者にもなれる(自己信託)
※これにより自分の会社株式を名目上、渡して、配当を受け取る。
※会社運営の決議権は「指図権者」を設定して、決議権行使を操作する。
※受託者(例えば相続人)への全権以上は、例えば、受託者の成長を見据えて行える。
・信託終了で信託所有権(信託法)は、所有権(民法)に再変換される
※だから都合の悪い時に「再変換」しない契約が必要
※信託所有権から所有権に再変換されれば、
そのときは、相続の「遺留分の減殺請求」は効力を持つことになる。
❷ 財産管理の義務(権利)を負う受託者
・所有権は❶の委託者から❷の受託者に移転しない
※受託者には、民法上の所有権はない
※民法上の所有権はないので、その権利は民法上は「空(カラ)」である。
・名義のみ(信託所有権という)が受託者が持つことになる
※信託所有権という名目で登記される
・受託者は、受益者に、利益の給付をする。
❸ 信託受益権を享受する受益者
・給付を受ける人
・委託者(被相続人)の所有権(民法)は、信託受益権(信託法)と性質が変る。
・信託受益権(信託法)は、民法(所有権)の世界から、分離される。
・受益者が死亡しても、最早「相続」ではない。
➂ 民事信託法の運用
ひょっとしたら米国並みの「相続回避手法」が、日本でも当然になるのかもしれません。
このことからも、民事信託の普及には、社会に対する正義と愛が必要である。相続税法もその封じ手を講じている。
なお、株式信託契約に関しては、
民事信託の利用に関しては、当該会社の「信託所有権」を税務署に届ける手続き(法人税法別表2)を前提に、
一般社団法人が受託者となり、決議権行使の指図権者を指定することにより、委託者(被相続人)の意思・遺志を、
徹底できる手法もある。